全国鯉釣り協会の会員で作るコラム『@釣り』

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 その他に、管理人独自の取材情報を基にしておりますのでご承知おきください。


 茨城県の水郷・潮来市を流れる用水路/前川の水が、1.3kmにわたって水が抜かれました。その様子が、2019年12月1日に『緊急SOS 池の水ぜんぶ抜く大作戦』(TV東京)で放送され、その中で外来魚「ダントウボウ」が番組史上初めて紹介されました。
ほぼ1年前の2018年11月11日に潮来市牛堀の北利根川でダントウボウが釣れたことを「2019年全国鯉釣り協会会報・会員名簿」で紹介しました。
その内容をここに紹介します。

水郷一帯に外来種「ダントウボウ」が繁殖中

全国鯉釣り協会 東日本ブロック 広報担当
紫峰釣友会 岩﨑 寿久

 2018年の初冬 11月11日 潮来市牛堀/北利根川沿いに広がる水郷北斎公園でのウキ釣り。
ダンドウボウ
小型20㎝~中型40㎝サイズの「アメリカナマズの襲来」の合間に、一瞬ヘラブナ(ゲンゴロウブナ)と思えた魚が釣れた。
針を外そうとして『あれっ! 口が細く突き出ている!』、そしてよく見ると背びれの形もなんか変だ!
帰宅して調べたが分からず、「タイリクバラタナゴ + ヘラブナ」「オオタナゴ + ヘラブナ」のハイブリッド(混合/雑種)なのか?・・・
 会社の釣り愛好家達に写真をメール配信しても『何これ?』『見たことないよ!』『・・・?』という反応の中で、ただ一人、私が中国赴任中に現地に出張して来て私と一緒に釣りしたY氏だけが『岩﨑さん、これ中国で釣ったときの魚に似てないかい?』という反応でした。
2015年6月21日に中国江蘇省連雲港市海州区石棚山山麓で私が釣った魚が下の写真です。確かに似ている? 見た目は同じに見えます。
海州区石棚山 ダンドウボウ
そして、数日後にヘラ&バス釣り愛好家の社内O氏から『ダントウボウという似た魚がネットに掲載されているのを見つけた』という連絡が入った。
そこで、私が中国赴任中に釣りを案内してくれた(中国人)現地スタッフに写真を送り確認すると、
   2015年に、岩﨑が中国・江蘇省で釣ったのは鲫鱼(ジーユー)で、日本語名:フナ
   2018年に、岩﨑が日本・水郷北斎公園で釣ったのは鳊鱼
        (中国北部での名前は鳊鱼、中国中部での名前は武昌鱼)
という回答でした。

中国人が見ると別の魚だというが、いずれにしても今回 岩﨑が水郷北斎公園で釣り上げた魚は中国北部の名前は「鳊鱼」(ビィェン ユー)、中国中部の名前は「武昌鱼」(ぶしょうぎょ Wu chang yu ウーチャンユイ)と呼ばれる魚だという。
※ 写真を拡大すると、顔つきと言うか、顔のトンガリ出し方に差があるようにも見える。
ダントウボウ ジーユー
「鳊鱼」を調べると、「長身鳊」「鳊花」「油鳊」とも言い、昔は「槎頭鳊」「縮項鳊」と言ったらしい。
一方「武昌鱼」を調べるとこれは俗称で中国正式名称は「團頭魴」(団頭魴)であることが分かった。

ここでは、2018年に水郷北斎公園で釣り上げた魚を団頭魴として話を進めます。
  学名「Megarobrama amblycephala」
コイ目 コイ科 クセノキプリス亜科 メガロブラマ属 ダントウボウ
中国語の正式名は「団頭魴」(だんとうぼう Tuan tou fangトゥァン トウ ファン)で、中国の揚子江水系に分布する15~25㎝,最大45cm程度の淡水性の魚で、毛澤東が武漢にやってくるたびに「大中華酒楼」で絶賛して食べた魚だという。別称「武昌鱼」です(「水をぬく」の番組内では最大1mと紹介されていたが、最大2mとう情報もあり詳細不明)。
「日本には、1986年に茨城県の研究機関に研究用として持ち込まれたそうで、2002年以降2014年までは散発的に見つかっているが2015年以降連続報告されているという。2015年に古渡橋近傍で、2017年には桜川下流および霞ヶ浦流域で釣獲記録があり、すでに多数生息していると考えられている」との紹介があるが、まだまだ珍しい魚?のようですが、今後は・・・??

 この魚に関して、更に調べてみました。
中国・三國時代(184-220年)の初頭に下記の言葉が残っていた。
   寧飮長江水 不食武昌鱼   寧還建業死 不止武昌居  ・・・以後省略・・・
これが武昌鱼の最古の記録だという。
この時代に、呉が建業(今の南京)から武昌(現在の湖北省武漢市武昌区からはやや離れた鄂州という地)に遷都した際、それに反対する庶民の間で流行したという歌の一節を踏まえたものという。
   意味:建業で長江の水しか飲めない暮らしをするとも、武昌の魚など食うものか。
      建業に帰って死すとも、武昌に留まってまで生きながらえようとは思わない。
そして、かつて毛澤東が食し絶賛したという、「大中華酒楼」のレストランの「淸蒸武昌鱼」を食した後で毛澤東が言ったと言う詩『遊泳』の中に、こんな一節があるという。
   「纔飮長沙水 又食武昌鱼」
   (今しがた長沙の水を飲んだところで、今度は『武昌鱼』を食す)
ここで、更に武昌鱼を調べていくと、淡水魚の養殖品種として新中国の設立後に中国の科学者によって命名された最初の魚種が「団頭魴」だという説明を見つけました。

 更に調べていくと、日本ではこんな研究も始まっているようです。

「団頭魴精子で赤フナの雌核の発育を誘導する研究」(団頭魴の精子はフナを誘導して雌核発育に非常に有効な刺激元であることを研究で証明した)
雄(オス)を雌(メス)にしてしまう研究なんだろうか? 目的は何?
いずれにしても、その後 私が聞いた情報では「水郷では何度も見ているよ!」という方の話から、これから更に増えていく外来魚のようで、皆さんもお目にかかる機会があるでしょう!

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